授業企画『夏の終わりの羅生門』一日目

天気にも恵まれ、青山ねりもの協会授業企画Vol.2『夏の終わりの羅生門』が始まりました。

これから夏の三日間、芥川と羅生門とむきあっていきます。
本日は夕方からの開始。

まずは羅生門を読む前に、芥川についてのお話を少し。作品名を聞けばポンポン出てきます。さすが大人!もちろん、知らないよーって方も。

羅生門、鼻、芋粥、蜘蛛の糸、地獄変、河童、歯車…。

芥川は作品の数もけっこうあります。短編作品が多いです。

前期は古典を題材にした作品が多いです。『鼻』が夏目漱石に認められたことをきっかけに、華々しい文壇デビューをかざります。

そして、晩年。親戚の自殺、借金、精神的なもの。たくさんのことが重なり、芥川は薬を大量に飲んで自殺します。晩年の作品には、彼の複雑な心境をあらわすようなものもあります。
ざっくりですが、芥川のことを踏まえたうえで、前期の代表作である、『羅生門』をいよいよ読んでみます。

なつかしの(?)形式段落読みをやってみました。(一字下がっているところで区切って読むやつ。)

『羅生門』は古典を題材にした作品なので、大人でも読みにくい漢字や言葉がちらほら。しかし、みんななんとなく、過去に授業などで多少なりとも羅生門に触れた記憶があったのでストーリーの流れを思いだしながら。

芥川の文体にとまどう感じもあった気がします。現代人にとってはやっぱり少しクドい感じなのか?読み手にもよる?
一通り読んで、物語の基本情報、「登場人物」「場所」「事件」を整理。

一回読んだだけですが、物語の大きな枠を考えます。この物語は、誰がどこでなにをする話だったのか?

もちろん人によって解釈は変わります。しかし、授業でみんなで考えるには試しにそれを乱暴にでもありきたりにでも設定してみる。そこから、さらに細かい部分を考えていく。最初の設定が、読み進めていくうちに変化してもいいし、それは面白いこと。

間違いや失敗を恐れる若い人たちにはその面白さが伝わらないことが多いけど、間違いや失敗を繰り返してきた大人たちはどうなるのか…。

とにかく、物語の大意をつかんで、いよいよ読解に。

今日は冒頭~老婆と下人の出逢いまでをやりました。

わりと早い段階で下人のことを「良い人」だと判断したり、下人の思考と感情の動きを「若さ」と一発で結びつけることが出来たりするのはやはり大人のなせる技。そしてそれを疑い、現在の自分や社会と結び付けて考えることができるのも。なんだか大人って贅沢だなと改めて思いました。

そしてその反面、学生のようにただただ純粋と素朴さによって、物語(あるいは芥川)と向きあうことはとても難しいので、大人ってかなしい。

もちろん、読解にも正解はないのだけど、学生たちにはこういうことを伝えているよーと、国語的?解釈もお伝えしながら進めます。

しかし、解釈するということは実はかなり乱暴なことだと思っている。ので、私自身も自分の話していることを疑い、確かめながら。

私個人的には、今回は最終的にリーディングをつくることを目的としているので、羅生門の物語の内容的な部分よりは、芥川的な部分がやはり気になっています。どうも、最初に読んだ感じでは、声に出して読んだ時の読めなさがどこから来ているものなのかが掴みきれませんでした。

もしかしたら、物語の理解とは別のなにかが働いている…?

それはもしや作者の芥川に由来するもの…?

と、もやもや考えてしまします。
明日は、お昼から!夕方には、リーディング作りに挑戦します。

それではやよいさんが撮ってくださった!本日のお写真をどうぞ!↓


⬆こちらは休憩時間にみんなで食べた芥川ゆかりの御菓子!どら焼きと最中。

上野のうさぎやという和菓子屋さんの御菓子。歴史のあるお店で、芥川はここの御菓子を好んで食べていたそう。お店の方とも交流がありました。

明日もたのしみです…!

金谷

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