授業レポート二日目

二日目のくそ長いレポートです!復習などにもどうぞ!

2月12日(水)
授業企画二日目
本日は、7名の方々と授業してまいりました。本日より参加の方が1名来てくださいました。

一限目(19時35分~20時25分)
今日はいよいよ本文読解です。私はいまだに本文読解が上手くできないので(小説だと特に)今日は割と勝負だなと思って挑んだのですが。個人的には見事に撃沈いたしました。参加者の方々に助けられて成立したようなものです。本当に。

私の場合、本文読解は基本的に、色々な視点から物語を見ることをやろうとしています。スタンダードなのが、物語を一番外側から冷静にみた視点と、物語の中にぐっと入り込んで(いわゆる、登場人物の気持ちとかをトレースする感じで、)内側からみた視点を行ったり来たりしながらやっていきます。

今回は、第一段落(P87、上段L1「ある日私は久しぶりに…」~P93、下段L8「…まだ席を立たないうちに、自分の部屋へ引き取りました。」)をまとめました。(「私」と「K」が図書館で会って、上野公園で話をして、下宿先に帰ってご飯食べたところまでです。)
資料として、別紙で第一段落の登場人物の行動(発した言葉を含む)のみをまとめた資料をお配りしました。つまり、登場人物のせりふと動きが書いてあるものなので、簡単な戯曲みたいなものになります。

私は、演劇畑で育ってきたせいもあって、登場人物が今何しているのかを把握するためにこの行動のみの資料をたまに作るのですが、高校生とやる時は割と余計な混乱を招く場合もあるので、私個人の理解のために作るのが多く、実際に配ったりはあまりしない。しかし、今回は皆さまにもお配りして、そちらの資料も参考にしながら本文を追っていきました。 

板書には、「私」(先生)の心理的な動きを中心にまとめました。この第一段落では、「私」の心の動きが実に細やかに描写されています。しかし、その巧みさに流されてとりこぼす点も多々あるのでそこの確認の意味も込めて。 本を読んでいると無意識に私たちが理解していることを、改めて文章化する、もしくは図式化することで意識化させること。そうすると、また違った視点が生まれます。実はきっと高校生の頃はそれをずっとやって来たはずなので、今回のコンセプト通り、普通にそれをやってみました。 

第一段落で押さえるべき「私」(先生)の心の動きは大体三段階の大きな変化が見られます。それを、①確認、②攻撃、③勝利(とどめ)という言葉で3つまとめてみました。 「K」に、「お嬢さん」への恋心をどうしたらいいか相談される場面なので、「私」(先生)の心はどうしても、「お嬢さんだけは譲らない」という目的のために動いていきます。

①の確認では、相手のKがどんな状態なのか、「私」(先生)は色々なアプローチでKを見ます。その一番わかりやすいのが、「他流試合をする人のように」や「要塞の地図」といった表現。友人である「K」をすでに「敵」と見なしていることが良く分かります。
一方、「K」は、「私」(先生)の確認したところによると、「理想と現実の間を彷徨している」らしいということ。どうしても「私」(先生)の目線で書かれた文章なので、「K」の気持ちを捕えるのが難しいのですが、ここで、「K」の気持ちも考えてみました。「K」の理想と現実とはいったいなんなのか。 やはり、二つの意見が出ました。理想は「お嬢さん」への恋へ向かうこと。現実はいままで追い求めてきた「道」に縛られている。という意見と、その逆で、理想は追い求めている「道」のために全てを犠牲にすること。現実は「お嬢さん」への恋に陥ってしまっていること。授業では、後者の意見のほうが、本文中から推測できる範囲でもっとも適切な「K」の気持ちなのではないかということにしました。(この、本文中から推測できる範囲で最も適切なこと。というのが、実はテストなどでは重要になってきます。)
そのあたりをまとめたところで、一限目は終了し、10分間の休憩になりました。

2限目(20:35~21:30)
またもや終了予定時間を10分ほどオーバーさせていただき、なんとか第一段落をまとめ終わりました。

前の時間の続きで、②の攻撃をまとめます。ここで、「私」(先生)はちゃんとKを倒せると見越してあの言葉を放ちます。それが、「精神的に向上心のないものはばかだ」という台詞。本文のテキストだけだと、この台詞が、登場人物たちにとってどれだけの重みをもったものかが分かりにくいので、その辺の補足の説明を入れつつ、③の勝利(とどめ)をまとめました。第一段落の最後のほうの、「私」(先生)のわりと長い台詞の部分がそれです。「やめてくれって、僕が言いだしたことじゃない、もともと君のほうから持ちだした話じゃないか。しかし君がやめたければ、やめてもいいが、ただ口の先でやめたって仕方があるまい。君の心でそれをやめるだけの覚悟がなければ。いったい君は平生の主張をどうするつもりなのか。」 「K」に対して勝利を感じた時点で割といきなり饒舌になる「私」(先生)をやはり批判せずにはいられない感じもありますが、私個人としては、「私」(先生)のこの気持ち良く分かる。気がする。
「私」(先生)はここで結構はっきりと、「K」に覚悟を決めろと、ハラを決めろと迫っています。それを受けて、「K」は普段みせないような表情で萎縮し、「私」(先生)は勝利の確信的なものを得て、安心の気持ちを持つのです。

しかし、この第一段落で発した「K」の最後の台詞「覚悟、ーー覚悟ならないこともない。」は、言葉としてみたら実はかなりあいまいな台詞です。外側から見ている私たちはそのあいまいさが普通に分かるのですが、「私」(先生)には、この時点では自分が迫った問いの答えとしてはまずまずのもの(「私」(先生)に有利なもの)として映っているわけです。

そんなところまでご説明しつつ、板書を終え、最後に20分ほど時間を残せたので、班ワークをやってもらいました。
ワークの内容は、「私」(先生)と「K」はどんな人かと一言で説明してください。というもの。今日やったことを落とし込む時間もなく、半ば無理やりこの班ワークになってしまいましたが、どうしても最後にお互いに感じていることを少しでもいいから共有していただきたかったのでやらせていただきました。
二班に分かれ、それぞれ「私」(先生)チームと「K」チームに分かれて、どんな人かと言うのを言葉にしてもらい、班で一言にまとめてもらい、最後に発表し合いました。
「K」チームのほうは、「K」という人は、「メンタルの弱いほりえもん」という言葉で表現していただきました。「私」(先生)チームは、「私」(先生)という人は、「和製ハムレット」という言葉で表現していただきました。
互いに納得する部分もあったり、納得できない部分もあったり、少しだけ意見交換もできました。
この、「一言で表す」ワークはもちろん、架空の登場人物とはいえ、一概には言えないものをまとめなければいけないという乱暴さはあるものの、登場人物や内容の理解というよりは、互いの意見を聞くとか、まとめるとか、相手に発信する「言葉」を試すには割ともってこいなので、高校生たちの授業でもよくやります。なのでやってみました。

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しかし、両チームともさすが大人の表現というか。何かを伝えるときに、皆が知っている何かに例えたというのはやっぱり年の功な気がする。
最後にまた、高校生たちが「K」の人物評をしたものをご紹介して、二日目も無事終了いたしました。

そんな感じで、二日目も誠にありがとうございました。

来週18日(火)はまた19時30分から一時間の授業と、その後すぐテスト!なかなかハードスケジュールです。はたしてあと一時間でなにをやろうか!
19日(水)はテスト返しをして懇談会の予定です。

テストだけ、むしろ懇談会だけの参加ももちろん大丈夫なので、ご新規の方もお待ちしつつ、
来週も引き続き参加予定の方はテストの範囲をまた明日以降こちらのブログにのせようと思っておりますので、どうぞ最後までよろしくお願い申し上げます。 

金谷

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