『こころ』のこと5
今日はそこそこ人生に絶望しているのであまり書かないぞ。
『こころ』の第五回目。
これまで色々と書いてきたけど、『こころ』って、授業以外だったらどうやって出会う作品なんだろうとふとおもいました。
というか、今の若い方じゃ夏目漱石の作品を読もう!ってなること自体大変なんじゃないかと思ったりしたこともあった。
どう出会うかなんてどの本も同じだけれど、誰かに勧められて?とか?
個人的には、自分が興味ないものに出会うことは本当に難しいと思っている。
出会いたいけど、行くのが大変。
今回の企画で初めて『こころ』と出会う方はいらしゃるのだろうか。いてくれたらなによりだなあ。
私は、自分が高校生のときには『こころ』はたしかやらなかった。でも、現代文の教科書の小説の部分だけはやらない作品でも読んでいたので、なんとく内容は知っていたのですが、そこまで興味を持たず。ちゃんと全部読んだのはそれこそつい最近で、学校で授業をやるとなってからでした。
そのとき買ったのが新潮社の文庫本でした。そのとき、新潮社の『こころ』のキャッチコピー的なのに思わず笑ってしまったのを覚えています。
それがこちら。↓
「友情と恋の、どちらかを選ばなくてはならなくなったら、どうしますか……。」
私は、あれ?こんな話だっけ?と思ったので思わず。笑ってしまった。
新潮社を選んだのにべつに理由はなかったのですが、こういう色んな出版社から出ている作品の場合、こだわりのある方は、後についている解説や、文字の大きさや、質感などで出版社をえらんだりしますよね。好きな本なら出版社別に買ったりとか。私はたまにやります。
だから、こういう、あらすじやコピーで選ぶ人もいるってことだ。
読んだことない人にどうやって伝えるかって難しい。
おもしろかったので、各出版社の『こころ』のあらすじやコピーを集めてみました。
まずは新潮社↓
友情と恋の、どちらかを選ばなくてはならなくなったら、どうしますか……。
鎌倉の海岸で、学生だった私は一人の男性と出会った。不思議な魅力を持つその人は、“先生”と呼んで慕う私になかなか心を開いてくれず、謎のような言葉で惑わせる。やがてある日、私のもとに分厚い手紙が届いたとき、先生はもはやこの世の人ではなかった。遺された手紙から明らかになる先生の人生の悲劇――それは親友とともに一人の女性に恋をしたときから始まったのだった。
・たぶん若い人にもわかりやすいようにこうしたんだってことはなんとなく察する。
続いて集英社↓
恋人を得るために親友を裏切り、自殺へと追いこんだ。その過去の罪悪感に苦しみ、自らもまた死を選ぶ「先生」…。愛と偽善、誠実の意味を追究した傑作。(解説・菊田 均/鑑賞・吉永みち子)
・個人的には解説の人のお名前がちゃんと見えてるとうれしい。しかし新潮社もそうだけど「…。」に込めたものがでか過ぎる。
こちらは筑摩書房↓
「私」は、ある夏の日、海辺ではじめて「先生」に出合う。足繁く「先生」の家を訪れるようになった「私」には、「先生」の、すべてを諦らめたような生き方を解き明かしたいという気持が次第に強くなる…。友を死に追いやった「罪の意識」によって、ついには人間不信に至る近代知識人の心の暗部を描いた傑作。若い読者の理解を助けるため読みやすい活字で詳細な語注を付した。
・さすが筑摩さんは冷静ッス。個人的にはこちらのあらすじのほうがしっくりくる。
角川↓
遺書には、先生の過去が綴られていた。のちに妻とする下宿先のお嬢さんをめぐる、親友Kとの秘密だった。死に至る過程と、エゴイズム、世代意識を扱った、後期三部作の終曲にして、漱石文学の絶頂をなす作品。
・ものすごくまとめてある! 角川はカバーがお洒落なのですよ。
講談社↓
最も親しい友人を死に追いやった罪の意識を抱きつつ、暗い思いで自滅への日々を送る主人公“先生”のこころの行方は?「彼岸過迄」「行人」に続く後期3部作の終作。近代知識人のエゴイズムと倫理感の葛藤を重厚な筆致で掘り下げた心理小説の名編。
・これわりと昔に書かれた紹介だと思う。心理小説って紹介するの勇気いったろうに。
そして岩波さま↓
この小説の主人公である「先生」は、かつて親友を裏切って死に追いやった過去を背負い、罪の意識にさいなまれつつ、まるで生命をひきずるようにして生きている。と、そこへ明治天皇が亡くなり、後をおって乃木大将が殉死するという事件がおこった。「先生」もまた死を決意する。だが、なぜ……。 (解説 古井由吉・ 注 大野淳一)
・なんかかっこいい。どの出版社より「……。」の重みがすごいです。
漱石先生の作品ともなると他にも色々なところから出ています。
もし、全編読みたくて本をお探しならば、こういうのも読み比べながら、やはり手にとって選ぶのが一番かと!
こういうあらすじの読み比べを本屋さんでするの。超楽しいよー。
ぼっちの暗い遊びです。
それでは、ぼっちもグンナイ。
写真はないぜ。
おやすみなさい。
金谷
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