2月のこと徒然

2月にあったことと、3月にあったことを書いておきたくなったので、久しぶりに書いてみようと思います。

まず、近年お世話になっている、サークルコラボ実行委員会さまのことから。
今年は2月に『宮沢賢治とあなた』という構成舞台をやりました。

というか、そもそも、私がここ最近やっていることをちょっと遡って整理しますと。

もともと舞台芸術をやってみたくて、そういう高校にはいって、そこで今のサークルコラボ実行委員会でもお世話になっている師とお会いしました。師が持っていた授業は、いままでやってきた演劇とはちょっとちがう「不思議な演劇」で、簡単にいうと、演劇をもっと社会的に使って(?)いこうぜみたいなことなんですが。(応用演劇とかいう言葉を使います。)とにかく、高校生の私にとっては「不思議」で、例えば俳優であるとか、演出家であるとかそういうのがまったく関係ない、誰でも演劇ができるその手法やら、考え方が楽しく思えました。
そして、師が大学でもそういうことを教えていて、あと大学ではその研究をしている方がたくさんいると聞いたため、その後、大学でもその「不思議な演劇」を学んでいました。(でも実際は、普通の演劇もしたかったし、あと教員免許もとりたかったし、けっこうフラフラしていました。)卒業してからも師が誘ってくださる機会にはちょこちょこ参加をしていました。
なので、サークルコラボさんに参加したのもその師のお誘いがあったからでした。

所沢中央公民館で、市民の文化的活動を活性化させていく。と、表現して良いのでしょうか。公民館と市民の橋渡しになるような企画をたてている場所がサークルコラボ実行委員会。
設立の経緯などは諸々あるものの、私は途中から参加させてもらっているので、上手く説明が出来ませんが…。
所沢中央公民館には立派なホールがあって、実はそのホールの舞台スタッフ(いわゆる、小屋つきさん的な存在)は舞台機構の講習を受けた市民のみなさんのNPO団体(シアターサポ)がほとんど請け負っていたりして、これは全国的にみても珍しい取り組みなんですね。
公共ホールを本当の意味で市民が利用する。つくりあげていく。そういう活動のひとつとして、サークルコラボ実行委員会もあります。

私が本格参戦したのは去年。三ヶ島葭子さんという所沢出身の歌人の日記から構成した舞台の作・演出をいきなりやらせてもらいました。それまでは師が実質そういう立場にありましたが、体調面のことと、いままでとは違うやり方、舞台の作り方をやりたいとのことでお声がけいただきました。

やっぱり、毎年ホールをつかって市民のひとたちが参加できるなにかをやる。といっても、なかなか難しい。なにか祭りのようなフォーマットをつくり、それを毎年やるということではないし。サークルコラボ自体は意欲的な人たちが集まっているけれど、どうしたらいいかわからないこともたくさんある。そういうことを考えるために、演劇はきっと役に立つ。(と、思っている。)

そして今年はまた違う形で、土曜・金曜に全7回のワークショップを設定し、宮沢賢治の作品の朗読作品を作り、試演会という形でホールで公演をしよう!という試みをやりました。
前回よりももっと色々な方に参加してほしい。という希望もありました。

蓋をあけたら、予想以上に多くの方に参加していただけることになり、びっくりして完全に実行委員側がドタバタしていました。
朗読というものも私は初めて。観たことはあるけど…。という感じ。

それでもって、べつにこの企画はレッスンではない。シンプルに舞台を作る。師や私や実行委員会の人たちが先生ではない。ということ。

なんか、たぶん、そういうとこがなかなか理解してもらいにくいんですよね。
みんながみんな同じ立場で、とはやっぱりいかないけど、
そんなん、もともと、バラバラな個人の集まりなんだし、だから、それぞれがそれぞれの立場で、一緒になにかを作ることは可能なんですよね。もともとは。

なんか、そういう、根本をぶち飛ばして、学校でもなんでもないのに、先生や生徒みたいになることがいくらなんでもおかしいんですけどね。本当は。

ともかく、私は朗読というものを知らなすぎて、すがるように朗読についての本も色々読みましたが…。朗読って、なんだか結構、無法地帯というか、そんな印象があります。

例えば、朗読について、正しく言葉を使えば、正しい表現が可能であり、正しい内容が伝わる。みたいなことを、参加者のかたもおっしゃっていたのですが、

その「正しさ」の定義や、正しい表現が伝わることの理論の構築の議論が、朗読界隈ではあまりなされていない。ような。印象。(ただの私の不勉強かもしれませんが)

なので、本当に、どうしたら良いかわからなかったです。朗読。教えてもらいたいです。手探りの、非常に難しい世界。
でも、朗読に関して何故か「朗読ならできると思って…。」の言葉は本当によく聞く。そういうところにも私の認識のズレがある。
「読むだけならば誰でもできるし…。」の声も聞く。「読むだけ」って、それがくそ難しくてこんなに私は悩んでいるというのに!

実際には、参加者の皆さんとそういう話をするまでにはいかなかった。なにしろ、ワークショップの時間が全然たりなかった。

宮沢賢治の作品の話についても全くといっていいほどできなかった。本当にくやしい。
最終的に私が演出的なことをせざるを得なかったのも腹が立つ。

ちなみに私は土曜夜チームで『猫の事務所』(初期形)という作品の朗読に取り組んでいました。
宮沢賢治の作品のなかでも私は結構好きな作品。舞台にしたらおもしろいだろうな。と前々から思っていた作品。

最初、人が全然集まっていないと思ったので、知り合いの役者さんらや、ワークショップで出会った演劇部の高校生にけっこう声をかけていたので、様々な年齢層の、全11人チームになりました。

土曜の夜の時間帯ということもあり、お仕事終わりから参加してくださるかたもいたり。あるいは忙しくて全然参加できない人もいたり。
それでも、(他の金曜チームとの兼ね合いもあり、)11人でこの作品を最初から最後まで読んだ方がおもしろいと思っていたので、最終的にも、そういう形の発表になりました。

そこで、私が個人的にとてもやりたかったのが、視点ごとにわけて読む。ということ。
授業で教科書読んでるとけっこう気になるのですが、「この文章はいま誰がどの辺の視点で見たことが書いてあるのだろう?」みたいなのを「視点」と呼んでます。
視点を気にすると、割りと文章が立体的になるような気がしている。
それを細かくわけて、その視点の役割ごとに人を変えて読む。
これがすごくやりたくて、時間がないのをいいことに、なかば無理矢理朗読台本みたいなのを勝手に作って、みんなに読んでもらったりしていました。
(もちろん、最終的に誰がなにを読むかとか、どんな風に読むかはみんなで決めました。)
そういう、私の気になりももっと共有したかった。

でも、最終的に舞台で発表したものはなかなか面白い、不思議な作りになっていたとは…。思います…。でもやっぱり無理矢理動いたりしない方がきっとよかった。朗読ならば。

そして、土曜だけじゃなく、全体の構成も、やったりしていました。それぞれ作品ごとにチームを形成していたので、実際には、いくつかの朗読作品ができあがっていたので、それを、淡々と発表していくのでも良かったのですが、やっぱり、最終的にはこの企画が全体で一つの作品となるほうが良いのではないかという意見のもと、そうなりました。

しかし、全員で集まって出来るのは本番の前日のみ。その日に、今回の試演会の全体像を出演者・スタッフともに確認していかねばならない!
いつもスタッフをやってくださるシアターサポの方々も、作品の全体図がわからないままプランを立てるのは初めてで、非常にてんやわんやしていました。

出演者(参加者)の方の中には、舞台に立つことが初めてな方もたくさん。
自分の読むところだけ気にしていれば良いということじゃない。照明がはいって、立ち位置を気にしたり、声の大きさ、出ハケのタイミング…。意識しないといけないことがたくさんあることに驚いておりました。

そしたら、驚くほどにみなさんの顔つきがキリリとしてくる。それが非常に美しい。本当にその変化をみられるだけでもこういう企画に参加していることが幸せにかんじる。この時間は尊い。本当に尊い。

最終的には全員がくたくたになりましたが、本番は無事にけがなく終えることができました。

なんだか、嵐のように過ぎさってしまって、ゆっくり考えることができなかったので、いまさらながらゆっくり考えています。

こういうことが、東京ではなく、埼玉でできること。
もっとやりたいのだけど、自治体になかなか必要とされていかない。
東京ならばこういう活動の話ができるのに、埼玉では話をしても通じないことが多い。と感じる。
それが、不満なのかなんなのかいまいちよくわからない。
演劇の役にたたなさ、相容れなさも本当にすごく感じるから。
たとえば演劇やったってコミュニケーション能力があがるわけではない。っていうのは、私がこの身で実証している。

朗読のこと。
朗読やりたい。読むことをやりたい。非常に興味があるし、もっと知りたい。というか、言葉が伝わることに今不信感しかないから。

宮沢賢治のこと。
師と宮沢賢治の話をしていると、わかるんだけど、ちょっとづつずれていく。宮沢賢治のことをもっとフラットにみていきたい欲が私のなかにすごくある。

いまあげたことは、もう少し整理したい。

金谷

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