『遠野物語』についてその4 「泉鏡花さん」

すごく夏っぽい感じを味わってさわやかな気分後に、すごく小さなすれ違いが発生して結果今はイライラしています。
私の夏を返せよ!もう!
あと何もしていないのに右肩を負傷しました。私の肩!もう!

こんな時は何か書こうね!『遠野物語』についてその4です。今日も寝にくい夜なんでしょうどうせ。つきあってよう。無理しなくていいけど!

さて、過去三回で『遠野物語』に関わる方をぽこぽこご紹介してきました。
柳田國男さん
佐々木喜善さん
水野葉舟さん

こちらのお三方が遠野物語3人衆。(と、私はよんでいる。)

彼らが出会って、不思議な本『遠野物語』が生まれました。

柳田さん・水野さんの心を動かした佐々木さんの語る遠野の昔話。でもなぜ二人にとってそんなに遠野がアツかったのかな?と疑問に思います。
が、もしかしたらそれは時代のせいもあったかもしれません。

当時、実は日本では怪談ブームというのが起きていたらしい。明治末期くらいに、欧米でスピリチュアリズムが流行っていて、その流れが日本にも来ていたらしい。
当時の有名な文豪と呼ばれる方々も怪談のお話をたくさん残していたりします。
それから、落語や講談の世界でも怪談ものは大流行りだったみたい。

そのあたりの流れは東雅夫氏の

『なぜ怪談は百年ごとに流行るのか』 (学研新書)
『遠野物語と怪談の時代 』(角川選書)

とかの御本がおすすめです。怪談の文学史的な目線で読めるのが新鮮です。

まあ、そんな時代の中で、そういうジャンルで超ド級に活躍した文豪がおりました。ご存じ泉鏡花さんです。
個人的には、『遠野物語』しらなくてもこの人は知らないとは言わせないよ!って勢いだったのですが、今回の出演者の方も知らない方いましたのでご安心ください。

Wikipediaではこんな感じのご紹介になっております。↓
泉 鏡花(いずみ きょうか、1873年(明治6年)11月4日 –
1939年(昭和14年)9月7日)は、日本の小説家。明治後期から昭和初期にかけて活躍した。小説の他に戯曲や俳句も手がけた。本名、鏡太郎(きょうたろう)。金沢市下新町生れ。
尾崎紅葉に師事した。『夜行巡査』『外科室』で評価を得、『高野聖』で人気作家になる。江戸文芸の影響を深くうけた怪奇趣味と特有のロマンティシズムで知られる。また近代における幻想文学の先駆者としても評価される。他の主要作品に『照葉狂言』、『婦系図』、『歌行燈』などがある。

中島敦さん(『山月記』書いた人な!)が日本人で泉鏡花の作品を読まないのはマジ損してるよ!的なことを言ったとかがあるぐらい、いろいろな方に影響を与えた当時の人気作家さんです。

私は最初戯曲のほうでこの方を知りました。(演劇の勉強をしていたもので。)『天守物語』が一番初めに読んだ本だったのを覚えています。
それで一時期めちゃくちゃはまって、高校生に台本書いてくれ的な依頼が来た時に、『天守物語』を原作に台本つくった覚えがあります。なんだか恥ずか懐かしい。
泉さんの作品は、言葉が超かっこよくて、超キュートで、綺麗でギラギラしてて、ドキドキしたことを今でも覚えています。もちろん、今読んでもドキドキします。

それはおいといて、その泉さんをなぜ紹介しているのかというと、
柳田さんとお友達なのだそうですね。この方。

柳田さんを追っかけてたら次々と仲良しエピソードがでてきました。
一番手軽に読めるのは、またしても青空文庫の泉鏡花の『遠野の奇聞』という評論(?)
柳田さんが出版した『遠野物語』の書評のような文章なのですが、ラブレター並に柳田さんへの愛のある文章になっておりますのでぜひ読んでください!!!

柳田さんももともと怪談や不思議なお話がお好きで、趣味でいろいろお話を集めていたのが民俗学の研究につながっていったところもあるので、
泉さんとはとても気が合ったようです。
もちろん、柳田さんも自身を鏡花狂だとかなんとか言っていて、泉さんのファンだということを公言しております。
二人の対談なんかを読むととても楽しそうで仲良くて微笑ましくなってしまいます。

『遠野物語』が出版されたとき、いち早く反応したのは、そういった柳田さんの文学仲間たちでした。
ご紹介した泉鏡花さんの『遠野の奇聞』はもちろん、
柳田さんの若かりし頃からの友、田山花袋さんとかの評価は有名ですかね。
田山花袋著『インキ壺』より抜粋です↓

柳田君の『遠野物語』これもさうした一種の印象的の匂ひがする。柳田君曰く『君には僕の心持は解るまい。』又曰く『君には批評する資格がない。』
粗野を気取つた贅沢。さう言つた風が至る所にある。私は其の物語に就いては、更に心を動かさないが、其物語の背景を塗るのに、飽くまで実際の観察を以てした所を面白いとも意味深いとも思つた。読んで印象的、芸術的にほひのするのは、其内容よりも寧の其材料の取扱方にある。

なんかこっちも仲良すぎてひねくれている感ありますが、田山さんは、『遠野物語』という作品としてみると、あんまり…。みたいな感じだったみたいです。
「柳田の趣味がまあマニアックなとこまでいったなぁ…」みたいな感想は田山さんあたりのお友達を中心にちらほらあります。

その中でも、泉鏡花さんは『遠野物語』を大絶賛している方です。
もっと後の時代では、三島由紀夫さんの小説について文章で遠野物語が引用されているのとかが…有名か…?

まあ、所詮は個人の感想にすぎないかもませんが、面白いのは、それぞれ《『遠野物語』をどういう風に捉えたのか。》というところかなと思います。
『遠野物語』は作品なのか?記録集なのか?
『遠野物語』について書いた人の文章には《これは、いったいなんだ?》という興奮みたいな疑問みたいな変な何かが共通してあるなあと私個人的には思います。

ちなみに、全然関係ないけど、若いころの柳田さんの恋愛を小説にしちまったのが田山花袋さん。(『野の花』という作品です!)
柳田さんを戯曲の登場人物のモデルにしちまったのが泉鏡花さん。(『夜叉ヶ池』など)
近しい人をモデルにしたりすることはまあよくあるとは思いますがそれにしたって柳田さんは愛されてるなあと思いました。

柳田さんと泉さんのことだけお話してきましたが、実はもう一人。

佐々木さんも泉鏡花さんの大ファンだったこともぜひお伝えしておきたいッ。

佐々木鏡石という佐々木さんのペンネームは鏡花さんの鏡の字をいただいて自分で勝手に作ったらしいですよ。
(ちなみに石は、釜石の石だとか、夏目漱石の石だとか、単に石が好きだからだとか色々だ!)

しかし、残念ながら、佐々木さんと泉さんはあまり親交がなかったようです。
この二人、どうやら会ったことはあるみたいなのですが、柳田さんがいるなら、もっと親交深めていてもおかしくない距離のはずなので、ちょっと不思議です。

でも佐々木さんはとにかく鏡花先生が大好き。鏡花先生が夢に出てくることもしばしばだったようです。
(佐々木さんは夢日記を残していらっしゃいます!うおおお!残してくれていてありがとおおおおおううう!!!)
しかし、私はその日記読んだとき、どんだけ好きなんだよってちょっと引きました。ごめんなさい。でもそんな佐々木さんも今ではいとおしいです。

さて、今日もながーくながーくなりました。まだまだご紹介したいことはたくさんあるのでまた今度。そろそろ今回の出演者の皆様もご紹介したい。
『遠野物語』にいる奴らより超キュートな奴らがそろってるんだもんね!!いいだろー!!!
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稽古日数も残りわずか。
ドキドキしながら私も実は鏡花先生の夢が見たい。
おやすみなさい。

金谷

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