源頼光と渡辺綱

強風の中稽古してきました。
台風はどうなるんでしょう。皆さま。お気を付け下さいね。

明日から長めの稽古時間になります。うおお。

さて。台風でお家にこもっている方。是非お付き合いください。

第6回目、『大鏡』について。
昨日は「陰陽師」の安倍さんをご紹介しましたので、今日もまた政治家とは違うご職業の方を。
「武士」を。ご紹介。職業という風に説明しちゃうのは乱暴ですね。

平安時代はまだ「武士」が台頭してきていない時代ですが、平安の次が彼らの時代になっていく流れは授業とかでもおなじみかと。

平安時代にも、こういう「武士」みたいな方は実はたくさんおりました。その方々でお金と権力を持った方々が次の時代に台頭してくるわけです。

今日はその中の一人、「源頼光」と「渡辺綱」をご紹介。今日、二人なのでクソながくなりますよ!

「源頼光」は「みなもとのよりみつ」と、読みます。恐らく、「みなもとのらいこう」の読みの方が聞いたことがある方が多いかと思われます。
武門の名将「朝家の守護」と呼ばれる方。「渡辺綱」は「わたなべのつな」と読みます。頼光さんの部下です。

このお二人は、今では昔話とかで有名ですね。大江山の酒天童子のお話とか。ごぞんじでしょうか。
『福娘童話集』というサイト様にわかりやすいのが載っていたので、長いですが引用↓

むかしむかし、あるところに、酒呑童子(しゅてんどうじ)という若者がいました。
 だれもが、ほれぼれするような色男で、毎日毎日、あちこちの女の人から、想いをよせる手紙が束になってとどきました。
「好きです。わたしと結婚してください」
「お願いです。結婚してください」
「家はお金持ちです。お金をあげますから、結婚してください」
 どの手紙にも、その様な事が書いてあるので、酒呑童子は手紙を開けようともしません。
 かといって捨てるわけにも行かず、酒呑童子は手紙をからびつという箱に入れておきました。
 けれどあるとき、からびつがいっぱいになったので、思い切って燃やしてしまおうと手紙に火を付けようとしたところ、大勢の女の人が手紙に込めた気持ちが白いけむりとなって、酒呑童子を包み込んだのです。
 すると、あれほどりりしくととのった顔が、みるみるうちに鬼のような顔に変わって、頭からは角まで生えてきました。
「何と言うことだ。女たちのうらみで、鬼にされてしまった。こんな顔では村のみんなも恐ろしがる事だろう。もう、ここにおれない」
 酒呑童子はこうして、丹波の国(たんばのくに→京都府)の大江山(おおえやま)に隠れ住み、そして大江山に住む鬼たちの大将になったのです。
 顔だけでなく、心まで鬼になった酒呑童子は、京の都に出かけて侍をおそったり、お姫さまをさらったりしました。
 さて都には、渡辺綱(わたなべのつな)という強い侍がいて、帝(みかど)から酒呑童子を退治するよう命じられました。
 ある晩、綱(つな)が羅生門(らしょうもん)へいくと、待ち伏せていた酒呑童子が、いきなり太い腕で綱をつかみあげました。
「グワグワグワーァ! おれを退治に来るとは、生意気な!」
 酒呑童子のものすごい力に、綱はもがきながらも、その右腕を刀で切って落としました。
「ウギャーーー!」
 腕を切られた酒呑童子が大江山へ逃げかえったので、綱は切り取った腕を屋敷へ持ち帰って、石のからびつにかくしておきました。
 あくる日のことです。
 綱の屋敷に、片腕の見かけないおばあさんがやってきて、
「鬼の腕をとったそうじゃが、ちょっと、見せてもらえんかのう?」
と、たのみました。
 怪しんだ綱がことわると、
「実は、わしの娘は鬼にさらわれたのじゃ。それに、そのときわしの右腕も。だからぜひとも、かたきの腕を見ておきたいのじゃ」
 おばあさんは、涙を流しながら訴えました。
 これに心を動かされた綱は鬼の右腕を取り出すと、おばあさんに見せてやりました。
「これが、娘さんのかたきの腕です」
 するとおばあさんは、その腕をすばやく自分の右腕につけて、たちまち鬼の正体を現しました。
「グワグワグワーァ! これで腕は元通りだ。これからは、もっと暴れてやるぞ!」
 酒呑童子はそう言い残すと、飛ぶようにして大江山へ帰って行きました。
「しまった! 酒呑童子がおばあさんに化けてくるとは。こうしてはおられん」
 綱はさっそく、帝に知らせました。
 そこで帝は都で一番強いと言われる、源頼光(みなもとのよりみつ)を呼んで、大江山の鬼退治を命じました。
 頼光(よりみつ)は、渡辺綱(わたなべのつな)をはじめ、卜部季武(うらべのすえたけ)、碓井貞光(うすいさだみつ)、坂田金時(さかたのきんとき→金太郎)たちを家来にして、大江山へ乗り込んでいきました。 ・・・

という、お話。この後、日本のよくあるだまし討ちで鬼を退治します。
もちろんこのお話は後世の創作ですが、創作の話が作られるくらい。有名だった方々。

あの、まさかりかついだ金太郎さんも実は頼光さんの部下です。(渡辺くんも含め、頼光さんの部下たちは「頼光四天王」と呼ばれます。すげえ。)

頼光さんは、「軍事貴族」と呼ばれる方です。
簡単に言っちゃうと、貴族のもとで、「軍事」(戦うこととか、もっといっちゃえば殺しとか)のお仕事を担っていた方々。
当時の有名な貴族はそれぞれお家に私兵を雇っているのが普通でした。
頼光さんのお家は、実は頼光さんのお父さんの代から道長さんのお家に使えているお家でした。
道長さんが権力者になった時は道長さんにお仕えしていたので、いままでご紹介してきた中では一番道長さんに近い方です。

しかし彼はどちらかというと政治家さんとして活躍したかったようだというお話もあります。実際、そちらのお仕事もやっておりました。
「軍事」の仕事でお金を結構ため込んでいたので、当時は上のような強い人というよりは、金持ちで有名だったようです。
「源」家なので実は皇族の血筋だということもあるかもしれませんが。(「源」という名字の方は皇族の血を引いている方だよ!)

ぶっちゃけ、「軍事」方面で強いと有名だったのは、彼の弟の方らしい。彼の弟はもうプロです。何って、殺しの。
そして彼の弟は、後の鎌倉時代の源頼朝の先祖です。うわあ。すごいぜ。

平安って、実は、平安なんかじゃなくて、結構、物騒だったんです。だから、こういう「武士」がでてきた。そうなると、平安の終わりに彼らが活躍していった流れもなんとなく、お分かりかとおもいます。時代が終わるってことは、争いがたくさん。おこった。と、いうことですね。

こういう武士を雇っている貴族たち(道長さんもそう)はなんか海外のマフィアっぽい。

渡辺綱くんは、頼光さんの部下で一番強いと言われていた方。
ちょっとかわったお名前ですが、この一文字のお名前は、中国のお名前を意識していて、外交などでも通用するように、(言っちゃえば、外の敵とも同等の位置で渡りあえるように)つけられたお名前だとも言われております。当時から、世界を見据えていた人たちもいたんですね。きっと。

道長さんと頼光さんはセットでいろいろなお話に出て来ることもしばしば。実は原作の『大鏡』には出てきません。でも、今回こちらの『大鏡』には出してみました。
さて、どうなるやら。

そんな源頼光・渡辺綱を担当しますのが、救仁郷将志さんと武田実生ちゃん。青ねり初参加のお二人!

まず、救仁郷氏。

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めずらしいお名前をお持ちです。お話をきいたら、祖先は名のある豪族だったようです。すごい。かっこいい。
わたしたちは「ごうさん」とお呼びしております。優しいお兄さんです。稽古やろうー。と率先して切り替えてくださるのはいつも彼。みんなが嫌がる台詞を、ごうさんおねがい!とふっても、やったーと喜んでくださる。すごいひと。とても基礎がしっかりしているお兄さんです。平澤さんには昭和のイケメンと言われております。
あと、皆にいい声だと言われ続けているとおもう。そのくらい良い声をおもちです。
ですが私はごうさんの、つまんないときは本当につまんない顔してくれるところが一番良いと思っている。楽しい時は本当に楽しそうにしてくれるところがホントにすごく良いとおもっている。
彼が源頼光担当!

そして、渡辺綱担当は、こちらの武田さん。

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みおちゃんとお呼びしております。
ブルーノプロデュースさまで金谷と共演して、今回誘ってみたら、良いよーやったーと即返事をしてくださった。やさしいつわもの。
ブルーノで共演した時から私はみおちゃんが大好き。
「もろともしない」という言葉がよく似合うとおもっている。「もろともしない」のよ、彼女。
しかし、ここ一カ月やってきてカンパニーのみんなも段々とみおちゃんの魅力に気づき始めている気がします。たぶん今、女の子で付き合うなら誰?の質問を全員にきいたら間違いなくみおちゃんが一番人気だと思う。でも、この『大鏡』より前にみおちゃんと出会っていた私としてはなんか嫉妬みたいな変な気持ちが湧きます。くそう。みおちゃんをお招きしたのは私なのに!
昨日紹介したちゃびぃさんとかは割と仲良しになってしまって(?)最近帰り道によくちゃびぃさんを殴っているところをよく見かけます。くそう!私もなぐられたい!

すごいひともつわものもいるよ!大鏡!
HPトップから専用予約フォームでチケット受付中です。よろしくお願い致します。

それでは。長々とお付き合いありがとうございました。
今日も心静かに、おやすみなさい。

金谷

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