授業レポート一日目

『 金谷先生が普通に授業をする会』のレポートです!まずは一日目。長いですが参考までにどうぞ!

2月11日(火)祝日
授業企画一日目
祝日の夜でしたが、協会員含め9名の皆さまと一緒に授業企画がスタートいたしました。

一限目(19時35分~20時25分)
まずは、この企画の概要について。そのまま流れで夏目漱石について基本的な所をお話ししました。 夏目漱石の活躍した時代や、処女作、代表作を板書しながら、参加者の皆さまと夏目漱石の距離を探りました。

夏目漱石の処女作は『吾輩は猫である』

こちらの作品は読んだことが無い方でも、夏目漱石と言えばコレ!という感じですぐに出てきました。 実際、本なんか全然読んで生きてこなくても、日本で過ごしていれば「夏目漱石」の名と『吾輩は猫である』の作品名は自然と知ってしまう。これは、あたりまえなんだけど、ものすごいことです。いったいどれだけの人が漱石先生のことを語り継いでいままでやってきたかっていう。
しかし、現在では、海外の『ドン・キホーテ』と同じように、有名すぎて、逆に読まない作品でもあります。個人的には、『吾輩は猫である』が漱石先生の作品群の中でも一番ぶっ飛んでいておもしろい気がします。(授業でテンぱって、漱石が27歳の時の作品とお伝えしてしまいましたが、本当は、留学後のデビュー作なので、37~38歳の時の作品です!申し訳ありませんでした!この作品がきっかけで、漱石先生は小説家として名をあげていきます。)
それから、前期三部作、後期三部作について。 夏目漱石をやると必ずこの前期三部作と後期三部作を一応お伝えします。同時期に書かれ、テーマや文体が似ているということで、今後夏目漱石の作品を読む時の参考程度にとお伝えしましたが、現在、大学入試でもわざわざこの前期三部作と後期三部作を問う問題も少なくなりました。私大の文学部ならまだ多少問題として採用されることもあるかもしれません。

前期三部作 『三四郎』 『それから』 『門』

後期三部作 『彼岸過迄』 『行人』 『こころ』

  とりあえずいきなり聞いてみて、漱石の作品名がどれだけ出て来るかチャレンジ。
上記のほかにも、『坊っちゃん』『草枕』『夢十夜』色々でてきました。さすが漱石先生。 これが森鴎外だったらこうはいかない。(鴎外先生をディスっているわけではない。) ちなみに前期三部作は、恋愛を中心とした人間関係をメインに、人間の心を分析的に描いた作品たち。後期はそれがもっと深化して、さらに内面的なものの表現を重視した作品群と言われております。そんなこと言われてもわからないと思うので読むことをお勧めします。 

そして、本題の『こころ』に入って行きました。漢字・語句プリントと、教科書本文のプリントをお配りしました。 漢字のプリントは来週のテスト用でもあります。漢字の読み書きの問題も普通に出すつもりです。授業では時間が無いので、個人的に調べていただくようお願いしました。

そしていよいよ本文。『こころ』は上・中・下の三部構成であること。これからやる本文は下のほんの一部であることをご説明して、本文箇所に入る前の物語の流れをざっとご説明し、10分間の休憩にはいりました。 

2限目(20:35~21:35)
全体としては終了予定時間を10分ほどオーバーさせてもらい、本文読みを中心に進めました。 休憩前のあらすじを踏まえ、本文を皆で形式段落読みしました。

事前に『こころ』を読んでいた方にはどんなお話かなのかを授業の初めにお聞きして居たのですが、そのときは、
・同性愛の話
・三角関係の話
というご意見がでてきました。果たしてそうなのか。まずは読んでみてどんな感じに受け取れるか、それぞれの中でいろいろ考えながら、どんな小さなこと(この漢字の意味は何?とか)でもいいので、自分の中で疑問に思う点があったらその都度ノートなどにメモしていただきながら、読んでいきました。さすがに大人なのでそんなに読めない漢字もなく。(むしろ私が読めなくて助けてもらいました;)45分ほどかけて読み終わりました。演劇関係と教育関係の方々がほとんどだったので、普段声に出して読むことに抵抗があまりないメンバーだった気がします。読む音もそれはそれはスムーズできれいでした。
近代の文体だと、そろそろ読むのに苦労する時代になってしまいましたが、今回集まってくださったメンバーは20代以上なのでまだなんとか。これが高校生となると、慣れ親しんでいる文体の違いにもっと戸惑ったことと思います。

読んだ後に、それぞれの疑問点を共有するというのをじっくり時間をとってやりたかったのですが、時間が無かったので、少しだけ、個々にお聞きしたりしました。

・先生はそんなに思いつめなくても良かったのでは?

・お嬢さんの本当の気持ちは?
  ↓
・時代のこともあるから、本当の気持ちというのもなかったのでは? 

・もしKが先に結婚を申し込んでいたらどうなったのか。
  ↓
・奥さんは先生だから結婚を了承したのでは? 

などなど。けっこう突っ込んだところで疑問点が出てきました。 既に『こころ』を読んだことがある方、全部は読んでいないが、高校生の時に授業でやったことがある方がほとんどだったので、内容の深いところまで見てくれていた印象です。

その後に少しだけ時間をいただき、金谷が高校生と授業をやった時に資料として残しておいた、高校生のみなさんの疑問点も参加者の皆さまにご紹介して、初日の授業は終了いたしました。

一日目なので、殆んど読むことしかできなかったのですが、『こころ』になんとなく興味を持ってくださった方、高校生の授業の感覚を思い出して楽しんでくれた方、それぞれ色々な受け止め方をしていただいたようです。たぶん。

ねりものたちと帰った帰り道に、なんだかライトノベル見たいだったとか、お嬢さんと奥さんの女性陣が黒幕じゃないかとか、そんな話をしながら帰れたのも個人的には楽しかったです。

不安だらけの一日目でしたが、本当に暖かい皆さまに囲まれて無事終了いたしました。
たぶんこれから毎回言いますが、ご参加いただいた皆さま。誠にありがとうございました。 

2日目へ続きますー。

金谷

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